桑田さんが翔く
新南陽市 山岳移動記  
JL4AOS 西田 和彦
 確か、2002年3月、月曜日の朝9時頃でした。 JJ4MOC 世良さんから携帯に、千石岳の下見のため、山口に向っています、旨の連絡がありました。
近所のコンビニの駐車場で待っていると、広島ナンバーの白いワゴン車が到着。
「ハイハイお疲れさんです」  ん? 人の波が切れない。ぞろぞろ、出るわ、出るわで計5人。
「なんか、みんな気合いはいってるなぁ」 と思いつつ、無事?下見も終了。この度の二回に及ぶ大プロジェクトのスタートとなったわけであります。
 
 そもそも事の始まりは、三年前に溯ります。 JH4KGD、JJ4CHR、と当局の3局で担ぎ上げをする?という、軽いノリで下見に行った時からでした。
 しか?し、行程がキツイ、誰も音頭をとらない、まだ来年がある、などなどの理由で先送りの状態でした。が、2003年の春に「新南陽市」は消滅するらしいことになりました。そこで、もう今年しかない、ということもあり、楽しい山岳移動をすることとなったわけです。

5月末(2002年5月26日)、第一回目、メンバーは広島各局と、3エリアから桑田さん、鎌谷さん。張り切って、30×2×2を上げましたが、交信した98局中、1エリア16局。実績がないということころなのでイマイチ成果の評価が難しいところでした。


「神亀」を片手に持つ桑田さんと筆者

 一部の局から、 「二回目やるど!」の声。 なんやかんやありましたが、やはり
二回目(2002年8月)をやることになりました。 前回は、アンテナの下段が立ち木にかかっていたこともあり、30×2で地上高を稼ぐ作戦となりました。
 あと発電機が900Wなので、バッテリーでフローティング回路を作り、リグも入力の小さい10W機にしました。(これは、JA3BBM 谷口さんのアドバイスです)
アンテナが減った分、担ぐ量は軽減しましたが、今回は、全員山頂で過すことにしたので、、テント、食料、飲み物(これが多いこと)が増えました。助っ人でJA6FAU 高木さんも、遠い九州から参加してもらいましたが、やはり、初日1人2往復しないと、荷揚げは完了しませんでした。
 ここで、登山道の簡単な紹介。 約600mの道程なのですが、とにかく急勾配です。
手ぶらなら35分で山頂へ倒れ込みますが、荷物を背負うと、そりゃ、ほんま大変です。 真面目な話、10歩進んで10秒休憩、座り込んだら立てなくなるので、膝に手をついて前傾状態でのお休みです。1時間半はかかったでしょうか。みんなよう頑張った!、自分を褒めてあげたい!
 鎌谷さんの正しい登り方指導のお陰で、全員無事?にたどりついた。
 設営完了後、さっそくCQ,?、CQ?。 気になるコンディションですが、足柄下郡が、QSBがあるものの、落ちきって全然聴こえなくなることもなく、入感していました。
あきらかに、1回目よりは良さそうでした。
 オペレータが交代しつつ、順調に交信成立。数十分に一回の間隔で、1エリアからも声がかかり始めました。
この分なら明日の午前中は期待出来るかも、とニヤニヤしつつ、いつの間にか眠り込んでいました。
 
 日曜の朝、アンテナの向いている方から朝日が昇り始めました。
6時頃からCQ?、CQ?。まだ早いのか、聞こえないのか、なかなか声がかかりませんでした。
横になって、CQ?、CQ?。モゴモゴモゴ・・・・。そのうちに、「わ?、来た、来た?!!」 ,
久々のドパイルだった。しかも、1エリア!!。 山口にいると、こういう経験には、あまり縁が無いので、あたふたしながら捌いていった。約5秒に1局、ホイ次、ホイ次。 「セブンリマ何チャラ、どうぞ!」、「・・・・・」。「あら、居なかった?」、「他、おられませんか、どうぞ」、モゴモゴモゴモゴ・・・・。 「ううう、涙がでるのお」


新南陽市 山岳移動各局の顔ぶれ
       左から、JJ4QJZ、JR4IEE、JK4OTT、JJ3TXX、JL4WIM、
       JA6FAU、JL4AOS、JE4BOZ、JJ4MOC
(2002.08.24-25)

 夢にまで見た新南陽市山岳移動でのドパイルが、今、こうして現実になったではないか。
結果を集計してみた。 151局中、1エリア76局と、とんでもない数字。
山口県大島郡、岩国市でも、こんなことは滅多に無いよ!。 1st新南陽市の人、山口県完了の人、1 st山口の人。この幸せ者?!。

 本当に、この担ぎ上げをやって良かったと思いました。また、このような素晴しい成果が出せたのも、エリアを越えた全国の430SSBマンのご協力があってのことだと感謝いたします。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございます。山口には、もう担ぎ上げるような山はありません。近県に、なんぼかあるみたいなので、チャレンジするかも知れませんよ?。

  (注) この移動運用記は、170 NET NEWS NO.160で発表されたスケジュールで
       No.161の別紙として発表されたものです。今回、JH3QYM 鎌谷さんの原稿と
       タイミングが合いましたので、ともに桑田さんが担ぎ上げで登場されることもあり、
       特別に、筆者、JL4AOS 西田さんの御了解をいただき、ここに改めて掲載させて
       いただきました。〔編集係より〕
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