桑田さんが翔く
鈴蘭高原に立つ  
JE2DVK  矢田 智也
 小生は、アマチュア無線に430SSB 運用が認可された頃から運用を始め全国伝搬実験にも参加していました。

 今回、ご縁がありまして、JJ3TXX局、故人の桑田さんが大切に使用されていました430アンテナシステムを譲っていただきました。岐阜県のローカルOM局,JI2FUI 長瀬さんのご紹介で、芦屋市のアンテナシステムの話を9月にいただきました。
 10月2日に、朝早く四日市を出発、芦屋まで軽トラを走らせました。
 天候も良く、午前10時より、JA3BBM 谷口さんら五局が、タワー上のアンテナ機器の撤去作業を開始されました。

 各局は、それぞれ電設のエキスパートで、工具片手にテキパキと、年令を感じさせない動きで、作業は順調に進みました。


JA3BBM局によるアンテナ撤去作業

 三時間ほどの作業で、先程まで天空にそびえ立つクランクアップタワー上に君臨していたアンテナは、静かに役目を終えて、屋上に降ろされました。
 ご家族やご子息の見守るなか、静かに作業は無事完了しました。

 降ろされたアンテナは、、頑丈に設置されたことがわかりましたが、あちらこちらに金属疲労が見られました。長年の風雪に耐え、日本各地の強者各局と交信をされたことでしょう。
 小生は、「ご苦労さま」と、心の中で云いました。

 このアンテナをいただくに至った経緯をお話いたします。
 実は、二年前に購入したクランクアップタワーを、今年の夏場に、海抜1360mの山荘に建立する作業が佳境の時でした。
 過去に何十本と製作した経験を生かし、自作の大型八木アンテナを、来春に上げる予定でした。さらに、ノイズの少ない高原という環境で、30年以上前から夢見ていたEMEの受信の準備も進めている最中でした。また、低NFプリアンプの製作や、電力合成のノウハウも習得してきました。
 430とて、アンテナも大型になり、長年培ったノウハウを生かし、冬の山荘での作業を考えていました。 薪ストーブの前で、コツコツと、やすり片手にエレメントを、一本一本自作し、雪解けの来春にはタワーを設置する案も完成し、アンテナの図面も作成していました。そんな折りに、長瀬さんから、芦屋のアンテナシステムの解体撤去のお話があったのです。


左から、JE2DVK、桑田敬司さん、桑田照美さん(故桑田誠司氏夫人)
JJ3WOV、JA3BBM、JO3TCY、JI2FUI各局
 さて、芦屋から持ち帰ったアンテナの補修に必要な部材やエレメントをメーカーに手配し、自宅での作業が始まりました。10月の第二週目には、保守部品類が入荷しました。
 夜な夜なエレメントを磨き、鈴蘭高原にアンテナが上がる日を夢に見ながら、毎日作業をしました。お陰さまで、アンテナはピカピカ、小生の手はボロボロとなった次第です。
 第三週には、アンテナを高原へ持参し、エレメント一本一本の角度調整しながら昼食を忘れるほどの取り組みでした。
 山荘では、タワーへのアンテナを上げる作業、そしてメンテナンスを小生自身でやるため、今後のことを考えてスタックパイプの組み方を変更しました。
 組立て作業に使ったネジ類は、タワーとアンテナ移設で、大小併せて400個以上で、指先に豆を作るほどでした。

 風邪を引いてしまい高熱の中、10月後半、最後に全てを上げる作業に入りました。各アンテナを確認して分配器に接続、試験電波を発射しました。事前に、アンテナアナライザーで動作確認をしましたので、安心して接続できました。
 現在設置してあるシステムより送受信共に向上したので、思わずリグの前で眼光鋭く、ニヤリ。


鈴蘭台山荘に復活したアンテナ
 鈴蘭高原は、10月末には紅葉の季節は終わりを告げます。 11月に入ると朝晩は氷点下になり、下旬には初雪がちらつきます。
 11月になったら、その頃には、山荘の薪ストーブで暖を取りながら、静かなバンドを聴いて、このアンテナの初交信を予定しています。

 芦屋からアンテナを撤去、自宅でのメンテナンス、そして、鈴蘭高原への設置など慌ただしかった熱中ぶりでしたが、無事に、全ての移設作業が終わり、ホッとしています。 
 皆さん、お世話になりました。ありがとうございました。
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